第8回(11月15日 アップロード)


これまで硬い話が続いたので、今回は、
ホスピスの患者さんたちを紹介したいと思います。
 

色紙 ホスピスでは、年間を通して色々な行事を行います。

 この色紙は、肺がんで入院されていたF.T.さん(57才)が描いたものです。

 節分には看護婦さんが鬼のお面をかぶって、患者さんが豆をまいたり、お花見・ピクニック・芋煮会などには、近くの山に出かけ、お昼の食事をしたり、ビールを飲んだり…。

 このように、毎月季節に合わせた行事を行っていますが、住み慣れた我が家を離れて入院している患者さんにとって、単調な生活の中では、とっても貴重な時間です。

 この他にも、誕生パーテイや結婚記念日のお祝い、ボランティアとして来て下さった方の演奏会、思い立った時にするお茶会やお好み焼きパーテイなど、様々な催しが行われます。
 病室という狭い空間で毎日を過ごしている患者さんにとっては、とても楽しい時間のようです。

 F.T.さんは、ホスピスに移ってから痛みのコントロールがうまくいって、13ヶ月間ホスピスで過ごされました。
 その間、時間を惜しむかのように絵を描いていました。


花火大会 年8月12日に、病院がある地区の花火大会が行われます。
 この写真は、十二指腸のがんで入院されたS.K.さん(67才)が撮影した花火大会の時のものです。

 S.K.さんは、お仕事をしていた頃から写真を撮るのを趣味にされていて、入院してからも、しょっちゅうカメラと三脚を担いで花や景色を撮影に出かけていました。

 ご自分の病気のことは十分に承知されていて、亡くなるひと月ほど前に、1週間外泊されました。
 その間に、亡くなった後のことなどを総て決めてこられたそうです。
 お家から帰ってこられてからは、食事がとれなくなったためか日増しに衰弱し、静かに、静かに、息を引き取られました。

S.K.さん 子ども達

 左の写真は、花火大会の時にS.K.さんと一緒に撮った写真です。
 この花火大会の時には、小さな子供達も大勢来てくれます。(写真 右)
 患者さん方も子供達を見ると、心が和むようですね。
 子供達も、知らず知らずにボランティアの仲間入りをしているようです。


 
M.Y.さん-1 M.Y.さん-2

 M.Y.さん(74才)は、肺がんの患者さんでした。
 痛みがひどかったのですが、ホスピスに入られてからは痛みもなくなり、気分のいいときには、談話室の植木の手入れをしてくださったりしていました。
 病気のことなどはご本人にも充分にお話ししたのですが、ご家族の話では、あまり良くは理解していないとのことでした。
 けれども、亡くなる三日前になって、突然お家に帰りたいと言われたのです。
 肋膜に水が溜まり、呼吸も苦しく、とても帰れるような状況ではなかったのですが、ご本人の希望があまりにも強かったので、寝台車を頼んで帰りました。
 右がその時の写真ですが、酸素吸入をしているのが判るでしょうか。
 この二日後に亡くなられたのです。

 ご家族の方々は、ご本人は良く判っていないと思っていたようですが、ちゃんと判っていたのですね。


 今回は三人の患者さんを紹介しました。
 皆さんそれぞれにご自分の生き方を持っていらして、ご自分の置かれた状況も、しっかりと理解しておられます。
 本当のことをお話ししないで、このような生き方ができるでしょうか。

 死を考えることはとてもつらいことですし、寂しいことです。
 けれども、死は誰にも平等に訪れます。不老不死の薬などはありません。
 元気な内にこそ、自分の死について考えておく必要があるのではないでしょうか。

このページに写真を載せることを快くお許し下さった、
S.K.さん、M.Y.さんのご家族に、心から感謝いたします。