ジャズ創世記の巨人の一人、シドニー・ベシェです。

シドニー・ベシェ(1) Sidney Bechet(シドニー・ベシェ)は、ルイ・アームストロングと共にジャズ創世記の巨人の一人ですが、ジャズ・レーベルとして名高い "Blue Note" の発展を支えた一人でもあります。

 彼は、`38年12月にカーネギー・ホールで行われたジョン・ハモンドが主催する "From Spiritual To Swing" と言うコンサートに、以前にレギュラー活動をしていた "New-Orleans feetwarmers" の演奏を再現するためにトミー・ラドニアと共に出演しました。
 この時に一緒に出演していたのは、ミード・ルクス・ルイスやアルバート・アモンズ、ピート・ジョンソンといったブギウギ/ブルース・ピアニスト達でした。
 彼らの演奏に感動したアルフレッド・ライオンが、ルイスとアモンズに交渉して、`39年1月に彼らのソロ・ピアノを録音して発売したのが、ブルーノート・レーベルの始まりとなりました。
 その4月にはポート・オブ・ハーレム・ジャズメンによるブルース・セッションを録音し、更に6月には、同じメンバーにシドニー・ベシェを加えた7人編成のコンボで、ブルースを中心としたハートフルな演奏を録音しました。
 この時ベシェがリズム・セクションだけをバックにプレイした "Summer Time" がブルーノート創設後の初ヒットとなり、同レーベル隆盛の礎となりました。 後にベシェはメズ・メズロウと組んでキング・レーベルに移りますが、キングでの録音の合間を縫って、ブルーノートでの録音を続けています。

 ベシェは、ジャズでは珍しいソプラノ・サックスの達人です(後にジョニー・ホッジスやジョン・コルトレーンなどが出てきますが、いずれもベシェの影響を受けていると言われています)。

 先ずは、彼の演奏する "Summer Time" を聞いてみて下さい。
(東芝EMIから発売、"Summer Time / Sidney Bechet & The Port Of Harlem Jazzmen" 、TOCJ-66007)
 テディ・バン(G)、ミード・ルクス・ルイス(P)、ジョニー・ウィリアムス(B)、シドニー・カトレット(Ds)のリズム・セクションをバックに、ベシェのソプラノ・サックスが、切々と歌い上げています。
 このコンボは、ブルーノートでの録音のために結成されたバンドです。 ブルーノートでの彼の演奏は、ほとんどが録音のためのメンバーで構成されています。

シドニー・ベシェ(2) 同じように録音のために結成された "Sidney Bechet Blue Note Jazzmen" の`44年の演奏が、CDになっています(St.Louis Blues/TOCJ-66009)。
 ここでは、彼はクラリネットに持ち替えて、シドニー・ド・パリス(Tp)、ヴィック・ディッケンソン(Tb)等と、白熱した演奏を繰り広げています。
 セントルイス・ブルースは勿論ですが、スロー・バラードの「ブルー・ホライゾン」が秀逸です。

 彼は、1897年5月14日にニューオリンズでクリオールとして生まれました。
 クリオールというのは、フランス人と黒人の混血のことで、フランス語を話し、当時のニューオリンズでは特権階級だったそうです。
 `49年からはパリに定住し、その後アメリカに帰ったのは`51年と`53年の2回だけで、`53年の帰国した時のボストンのクラブ "StoryVille" でのライブ版が、「ジャズ・アット・ストーリーヴィル / シドニー・ベシェ」Vol.1~2として、TOKUMA JAPAN COMMUNCATIONS から発売されています。
 ここでは、ヴィック・ディッケンソン(Tb)、ジョージ・ウィーン(P)、ジミー・ウッド(B)、ブジー・ドルーティン(Ds)と共演していますが、「C-ジャム・ブルース」、「ジャズ・ミー・ブルース」、「クレイジー・リズム」など、素晴らしい演奏を聴くことが出来ます。

 彼がパリで作った「小さな花」は、世界中で大ヒットしました。 日本でも、ザ・ピーナッツの歌でヒットしましたね。

 `59年5月14日に、パリで亡くなりました。 奇しくも、誕生日と同じ日でした。