戦 火 の 勇 気

「ラストサムライ」を製作・監督に携わったエドワード・ズウィック監督、
デンゼル・ワシントン、メグ・ライアン主演の、「戦火の勇気」です。

監督: エドワード・ズウィック 脚本:パトリック・S・ダンカン  
撮影: ロジャー・ディーキンス 音楽:ジェームズ・ホーナー  
出演: デンゼル・ワシントン、   メグ・ライアン、 マット・ディモン、
マイケル・モリアーティ、 ルー・ダイアモンド・フィリップス、 スコット・グレン、
ブロンソン・ピンチョット、   レジーナ・テイラー、 ショーン・アスティン、

あらすじ

ポスター 湾岸戦争で戦車中隊を率いていたサーリング大佐(デンゼル・ワシントン)は、味方の戦車を敵と誤認して攻撃命令を下し、破壊してしまった。
 帰国後、亡くなった部下の両親には軍の命令で「勇敢に戦って戦死した」と告げたが、そのことが心の深い傷となっていた。
 ペンタゴン勤務になっていた彼は、戦死して名誉勲章受章の候補となっていた救助隊女性士官ウォーデン大尉(メグ・ライアン)の事実確認調査を命じられた。
 調査を進めていく内に、彼女の部下の証言に食い違いがあることに気付いた彼は、自分の過去が重なり合って、次第に酒に溺れて家庭崩壊の危機に瀕してしまうのだった。
 女性初の名誉勲章受章を利用しようとする政治家達にせかされて、上司のハーシュバーグ准将(マイケル・モリアーティ)は早く報告書を提出するように言うが、サーリングは事実が明らかになるまでは出せないと答え、任務を外されてしまう。
 サーリングは、一人で調査を進めようとするのだが、そこには意外な事実が隠されていた・・・

戦火の勇気ー1  戦争映画というよりは、映画「羅生門」にヒントを得て作られた証言の食い違いがもたらすサスペンス。
 サーリングの部下の救出に向かったウォーデンが操縦するヘリは墜落してしまい、その後に彼女が取った行動は勇敢だったという証言と、怖くて震えていたという全く対立する証言が出てくる。
 その鍵を握るのが、M-46機関銃の弾丸が残っていたかどうかに懸かってくるのだが、証言の度に異なった戦闘場面を演じるメグ・ライアンは、これまでのロマンチック・コメディのヒロインとはがらりと趣を変えた演技で、女性士官の役を立派に演じている。
戦火の勇気ー2 ウォーデンを擁護する証言をするイライオは、戦友達との板挟みになって麻薬に溺れ、ついには脱走兵となってしまうのだが、マット・ディモンが、気の弱い部下を、うまく演じている。
 ラスト近くで、ウォーデンの部下のモンフリーズ軍曹(ルー・ダイアモンド・フィリップス)の証言を得ようとする場面では、衝撃的なシーンが展開される。
 一匹狼となったサーリングが、ワシントン・ポストの記者ガートナー(スコット・グレン)と取り引きする場面や、彼を心配しながら見守る妻のメレディス(レジーナ・テイラー)の健気さなど、見所一杯の作品である。
 物語は意外な結末を迎えるが、アメリカ映画ならさもありなんという感じで、ほぼ予想通りであったが、そこへ至るまでのサーリングの苦悩や、ガートナーの取材など、観客を惹きつける構成は見事である。

戦火の勇気-3 デンゼル・ワシントンは、`54年ニューヨーク州の生まれで、オフ・ブロードウェイの舞台(ソルジャー・ストーリー、マルコムXなど)で注目を集めた。`81年の「ハロー・ダディ!」で映画デビューし、`87年の「遠い夜明け」で、アカデミー助演男優賞にノミネート、`90年の「グローリー」で、同賞を受賞した。
 `01年に「トレーニング デイ」でシドニー・ポアチエ以来、黒人俳優として二人目の主演賞に輝いた。
 その作品と前後して、「マーシャル・ロー」、「ボーン・コレクター」、「ジョンQー最後の決断ー」、「タイムリミット」など多くの話題作に出演している。

戦火の勇気ー4 メグ・ライアンは、`61年コネティカットの生まれで、ニューヨーク大学のジャーナリズム科を卒業している。
 `81年に「ベストフレンド」に初出演したが、その後は作品に恵まれなかったものの、`86年にトム・クルーズと共演した「トップガン」で注目された。
 `89年にビリー・クリスタルと共演した「恋人たちの予感」が大ヒットし、「めぐり逢えたら」、「ユー・ガット・メール」、「ニューヨークの恋人」などロマンチック・コメディに多数出演している。
 この作品では、部下の証言毎に違ったシチュエーションの戦闘場面を演じ分け、新しい境地を開いたと言えるのではなかろうか。

 監督のエドワード・ズウィックは、`86年に「きのうの夜は・・・」で初メガホンをとり、その後、南北戦争に参加した黒人部隊を実話に基づいて描いた「グローリー」(`89年、出演:マシュー・ブロデリック、デンゼル・ワシントン、モーガン・フリーマン)、元騎兵隊の父と三人の息子の生活を描いた「レジェンド・オブ・フォール」(`94年、出演:ブラッド・ピット、アンソニー・ホプキンス)、テロで戒厳令が敷かれたニューヨークを舞台とするサスペンス「マーシャル・ロー」(`98年、出演:デンゼル・ワシントン、アネット・ベニング、ブルース・ウィリス)などを手がけている。
 最近では、`03年の「ラストサムライ」で話題となったが、この作品では、制作・脚本も兼ねている。


 「戦火の勇気」は、アメリカ映画にありがちな結末が惜しまれるものの、部下を死なせてしまった苦しみを抱えながら、真実を知るために戦い続けるサーリングの姿に心を揺さぶられた。