第9回 (`00年2月6日 アップロード)


アカデミー賞の発表も近いので、
今回は、ジュディ・ガーランド主演の「スタア誕生」です。


スタア誕生(`54年製作、`55年日本初公開)

監督:ジョージ・キューカー
脚本:モス・ハート
撮影:サム・リーヴィット
作曲:ハロルド・アーレン
作詞:アイラ・ガーシュイン
出演:ジュディ・ガーランド、ジェームズ・メイソン、
   ジャック・カーソン、チャールズ・ビックフォード


ポスター ナイトクラブのコーラスガールだったエスター(ジュディ・ガーランド)は、プレミアショウの晩に出会った大スターのノーマン・メイン(ジェームズ・メイソン)に見出され、ミュージカル・スターとしての道を歩み始める。
 ノーマンは、エスターを売り出すために、できる限りの努力を惜しまなかった。

 やがて二人の間に愛が芽生え、二人は結婚する。

 エスターがスターへの階段を上り始めるのとは逆に、ノーマンは、彼の破滅型の生活が災いして、落ち目になっていった。酒におぼれる日々が続き、パーティの席などで醜態をさらすようになってしまう。
 エスターは何とか彼を立ち直らせようとするが、ノーマンにはエスターの憐れみのように感じられ、益々落ち込んでしまうのだった。

スタア誕生-2 そんな中で、エスターはアカデミー賞にノミネートされる。
 エスターは見事に主演女優賞を獲得するのだが、ノーマンは酔って晴れの舞台を台無しにしてしまった。

 そんなこともあって、ノーマンは間もなく入水自殺をしてしまう。

 受賞後のオールスター・チャリティ・ショウに出演したエスターは、「私は、ノーマン・メイン夫人です」" This is....Mrs. Norman Maine. " と話し始めるのだった。


こんちゃんの好きな映画の当たり年

 この年は、こんちゃんの好きな映画の当たり年でした。

 「グレン・ミラー物語」、「ホワイト・クリスマス」、「裏窓」、「略奪された七人の花嫁」(ミュージカル部門音楽賞)、「波止場」(アカデミー作品賞、監督賞=エリア・カザン、主演男優賞=マーロン・ブランド、助演女優賞=エヴァ・マリー・セイント)、「ケイン号の叛乱」、「愛の泉」、「海底二万哩」など、など…。
 「裏窓」は既に取り上げましたが、他のものもいずれは取り上げてみたいと思っている映画ばかりです。

スタア誕生-3 ジュディ・ガーランドは、この映画を観るまでは「オズの魔法使い」を観ただけだったので、是非とも見たい女優の一人でした。
 彼女は14歳でMGMと契約してからは、MGMの看板女優として沢山のミュージカル映画に出演しました。ジェームズ・キャグニーと共演した数多くのミュージカルで、青春スターのシンボル的存在でもあったのです。
 早くからスターとしての道を歩んだ彼女は、その重圧からアルコール浸りになってしまい、`50年にMGMを解雇されてしまいました。

 「スタア誕生」は、そんな彼女の復活を賭けた作品でもあったのです。

 この映画の基になったのは、`32年にジョージ・キューカーが監督した「栄光のハリウッド」で、ジュディが`42年にラジオ版に出演して以来映画化を望んでいたのだそうです。

 映画の筋は、よくあるバック・ステージ物ですが、ミュージカルとしても、シリアスな物語としても、大変良くできた作品だと思います。
 ジュディの熱演もありますが、ジェームズ・メイソンの段々と落ちぶれていくスターも、良く感じが出ていました。
 エスターが自分の人生を15分間にわたって歌い上げる " Born In A Trunk " は、ジュディの半生と重なって、まさに圧巻です。

スタア誕生-4 最後の「私は、ノーマン・メイン夫人です」と言うシーンでは、ついホロリとさせられてしまいました。

 ジュディはこの映画でアカデミー主演女優賞にノミネートされたのですが、「喝采」のグレース・ケリーにさらわれてしまい、受賞できませんでした。(ジェームズ・メイソンも主演男優賞にノミネートされましたが、マーロン・ブランドに獲られてしまいました。)

 彼女は後に映画監督のヴィンセント・ミネリと結婚しました。「キャバレー」や「ニューヨーク・ニューヨーク」に主演したライザ・ミネリは、二人の間の娘です。

 この映画でカムバックしたジュディでしたが、その後はノーマンと同じ道を辿って、`69年に急死してしまいました。
 睡眠薬の飲み過ぎだったと言われています。

 ジェームズ・メイソンは数多くの作品に出演しているので、皆さんもご覧になったことがあるでしょう。
「北北西に進路を取れ」、「マンディンゴ」、「評決」、「砂漠の鼠」、「オーメン」、「海底二万哩」などに出ていますが、ちょっと渋めの役どころが多いようです。

 ジョージ・キューカーは、映画がトーキーになった後で舞台監督から映画に移った人で、数々の名作を残しています。
 ロナルド・コールマンがオスカーを獲った「二重生活」、 キャサリン・ヘップバーン主演の「フィラデルフィア物語」(ビング・クロスビーとグレイス・ケリーの「上流社会」の基になった)や「若草物語」(ジューン・アリスンとエリザベス・テイラーが出演したものの前に作られた)、イングリッド・バーグマンの「ガス燈」、マリリン・モンロウの「恋をしましょう」、そしてアカデミー作品賞を取った「マイ・フェア・レディ」など、いずれも素晴らしい作品ですね。

 作曲のハロルド・アーレンは「オズの魔法使い」の中の「虹の彼方に」の作曲者としても有名ですが、ミュージカルも沢山作っていて、" Get happy "、" Stormy Weather "、" Blues In The Night "、" Let`s Falling In Love " など、名曲を沢山書いています。

 作詞のアイラ・ガーシュインは、「巴里のアメリカ人」を作曲したジョージ・ガーシュインの兄で、沢山のミュージカルの作詞をしています。
 " The Man I Love "、" But Not For Me "、" I Got Rhythm "、" I Can`t Get Started " などはジョージ・ガーシュインの曲にアイラが歌詞をつけたものですが、今でも広く歌われています。

 `76年にバーブラ・ストレイザンドとクリス・クリストファーソンの主演で、フランク・ピアソン監督がリメイクしていますが、あまり面白くありませんでした。