第14回(`04年1月7日 UP)


しばらくサボッテしまいましたが、久し振りに映画の紹介です。

今回は、名コンビ アステア&ロジャースの、"Top Hat"です。


トップ・ハット(1935年、RKO)

監督:マーク・サンドリッチ
脚本:アラン・スコット、ドワイト・テイラー
撮影:デヴィッド・エイベル
音楽:アーヴィング・バーリン、マックス・スタイナー

出演:フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャース、
   エドワード・エヴェレット・ホートン、ヘレン・ブロデリック、
   エリック・ブロア、エリック・ローデス、

アカデミー賞作品賞、美術賞、主題歌賞、ダンス監督賞にノミネート
(作品賞は「南海征服」、歌曲賞は「ブロードウェイの子守歌」が獲得)


あらすじ

ポスターアメリカのミュージカル・スターのジェリイ・トラバース(フレッド・アステア)は、友人のハードウィック(エドワード・エヴェレット・ホートン)の招きで、ロンドンで舞台に出演することになった。
ハードウィックは、ジェリイに妻マッジ(ヘレン・ブロデリック)の友人でモデルをしているデール・トレモント(ジンジャー・ロジャース)を紹介するつもりだった。
ホテルで舞台の話をしている内に、ジェリイはタップダンスを始めてしまう。
下の部屋にいたデールは、うるさくて眠れないと苦情を言いに上がってくるが、一人で部屋にいたジェリイをハードウィックだと思いこんでしまう。

お見合いの相手だとは知らないもののデールをすっかり気に入ってしまったジェリイは、翌日馬車の御者になりすまして公園までデールを送ったのだった。

ジェリイは、公園でにわか雨にあって雨宿りをしているデールを口説こうとする。デールは、ジェリイを憎からず思っているのだが、友人の夫だと勘違いしているため、受け付けようとしない。

ジェリイは何とかデールの気を引こうとして毎日花束を届けるのだが、ハードウィックの付けで買ってしまったために、カードはハードウィックの名前になってしまった。

益々混乱してしまったデールは、マッジの滞在しているナポリへ行ってしまう。

ジェリイとハードウィックはデールを追いかけてナポリへ飛ぶが、デールの思い違いには更に拍車が掛かり、遂にデールはデザイナーのアルベルトと結婚することになってしまう。

さて、この結末は・・・


Cheek to Cheek-1フレッド・アステアとジンジャー・ロジャースの名コンビによる4作目(主演としては3作目)。
ミュージカル映画と言われていますが、映画の中のダンスナンバーは4曲のみで、どちらかというと人違いをモチーフにしたスクリューボール・コメディの感が強いですね。
けれども、ダンスナンバーは、さすがに超一流です。

特に、最後に二人で踊る" Cheek to Cheek "は、絶品です。 流れるような二人の動きには、思わずウットリとしてしまいます。

Cheek to Cheek-2羽毛をまとったジンジャーは優雅そのもので、ウディ・アレン監督の「カイロの紫のバラ」(`85)のラストで、ミア・ファーローがスクリーンに見入っているシーンにも使われています。

二人がコンビを組んだのは、ドロレス・デル・リオ主演の「空中レビュー時代」(`33)が最初で、「キャリオカ」をラテンムード一杯に踊り、大喝采を博しました。

この成功に気をよくしたRKOは、`39年までの6年間に、二人のコンビで9本の映画を作り、経営の危機を脱しました。

Continental右の写真は、二人が主演した第1作「コンチネンタル」(`34)のシーンです。
この中のナンバーでは、" Night and Day "が有名ですね。

その他には「艦隊を追って」、「有頂天時代」、「踊らん哉」、「気儘時代」、そしてコンビの最後(本当は、`49年に再コンビを組んだ「ブロードウェイのバークレー夫妻」が最後)の「カッスル夫妻」などがありますが、どれを見てもワクワクしてしまいます。

フレッド・アステアは、MGMの「ザッツ・エンタテインメント」「ザッツ・エンタテインメント Part-2」の司会をしていたので、ご覧になった方も多いと思います。
ロジャースとのコンビを解消してからも、ジュディ・ガーランドと共演した「イースター・パレード」、ジェーン・パウエルとの「恋愛準決勝戦」(部屋の中を床から天井そして床へと360度回転して踊るシーンが有名)、シド・チャリシーとの「バンド・ワゴン」や「絹の靴下」、レスリー・キャロンとの「足ながおじさん」、オードリー・ヘップバーンとの「パリの恋人」など、沢山の傑作ミュージカルに出演しています。

ダンス・スターとしては、ジーン・ケリーと並び称されますが、個性が全く違って、都会的な洗練されたダンスが売り物でした。

シリアスなものにも出ていて、「タワーリング・インフェルノ」の詐欺師や、核戦争後の地球を描いた「渚にて」など、印象的でしたね。

`87年に、88歳で亡くなりました。

ジンジャー・ロジャースは、最初の夫ジャック・ペッパーとダンスチーム「ジンジャーとペッパー」を組んで舞台に立ち、ブロードウェイの「トップスピード」で注目され、`30年の「恋愛四重奏」で本格的な映画デビューを果たしました。その後「四十二番街」、「ゴールド・ディガーズ」に出演し、「空中レビュー時代」でアステアとコンビを組むことになります。
コンビの映画を作っている間にも、「深夜の星」(`35)、「ステージ・ドア」(`37)などのストレート・ドラマに出演していました。

コンビを解消した次の年の`40年に、デニス・モーガン、ジェームズ・クレイグと共演した「恋愛手帳」で、アカデミー主演女優賞を獲得しました。
その後も「運命の饗宴」(`42)、「恋の十日間」(`44)、「女性よ永遠に」(`53)など沢山の映画に出演し、また、舞台でも活躍しました。
晩年はウディ・アレン等と共にモノクロ映画のカラー化に反対すなど、映画文化を守ることに貢献しましたが、`95年に亡くなりました。 85歳でした。


この映画を取り上げようと思ったきっかけは、スティーブン・キング原作の「グリーンマイル」を観たことでした。

トム・ハンクス扮するポール・エッジコムが、老人ホームで「トップ・ハット」を観て、看守だった頃に想い出を馳せるところからこの映画が始まります。
細かい内容は映画を観て頂きたいのですが、死刑囚のジョン・コーフィ(マイケル・クラーク・ダンカン、アカデミー助演男優賞)が、死刑になる前日に「何かしたいことはないか」と聞かれて、「映画を観たことがないので、映画を観たい」と言って観たのが、この映画だったんです。

こんちゃんは、実は「トップ・ハット」を観ていなかったのでビデオを探したのですが、見つかりませんでした。
それが、今年の1月にDVDで発売になったので、早速買ってきました。
映画の筋はともかく、ダンスシーンの素晴らしさには圧倒されました。
アステアのダンスシーンは、カメラの切り替えなしにワンカットで撮影されているのが特徴ですが、この映画でも、流れるようなダンスと、それを追うカメラワークは、何とも言えない陶酔感を与えてくれます。
アステア&ロジャースの映画をご覧になったことのない方には、お奨めの一本です。

話が戻りますが、「グリーンマイル」も感動的な映画です。
文芸作品を映画化したもので、原作を越える作品にはなかなかお目に掛かれませんが、これは、原作に勝るとも劣らない出来だと思います。アカデミー作品賞を獲ったのも肯けますね。
フランク・ダラボン監督は、前作の「ショーシャンクの空に」でもノミネートされましたが、スティーブン・キングとの相性がいいのでしょうか。

こちらもご覧になっていない方には、観て頂きたい作品です。